交通事故の慰謝料を弁護士基準表で自分で計算!弁護士基準にするには
弁護士基準について解説します。日額いくらか、通院日数との関係、自分で弁護士基準にできるか?を後遺障害14級慰謝料、追…[続きを読む]
交通事故による後遺障害3級1号、2号、3号、4号、5号は、労働能力喪失率が1級や2級と同様に100%であり、重篤な後遺障害が残る状況です。これにより、事故後の社会生活には大きな困難が生じます。
したがって、後遺障害の認定基準や、慰謝料の増額方法や相場など、適切な補償を受けるための知識を身につけておくことが不可欠です。
この機会に、交通事故に関連する後遺障害3級の認定条件や、後遺障害が認められた場合の慰謝料や逸失利益の相場、さらに慰謝料を増額するために必要な手法について詳しくご説明します。
目次
自賠責の後遺障害3級の主な症状と慰謝料の相場は以下の通りです。
等級 | 症状 |
---|---|
3級1号 | 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの |
3級2号 | 咀嚼又は言語の機能を廃したもの |
3級3号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 例:就学できない場合や家事労働ができない場合など |
3級4号 | 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 例:自宅周辺の歩行は可能でも、生涯にわたって労務に服することができない場合など |
3級5号 | 両手の手指の全部を失ったもの ※母指は指節間関節(IP)以上、その他の指では近位指節間関節(PIP)以上の部分を失った場合 |
3級の後遺障害慰謝料の相場 | ||
---|---|---|
自賠責基準 | 任意保険基準(※) | 弁護士・裁判基準 |
861万円 (被扶養者がいるときは1,005万円) |
950万円程度 | 1990万円程度 |
上表のとおり、後遺障害慰謝料の相場は、861~1990万程度であることが分かります。
ただし、この金額はあくまで相場ですので、金額が増額する可能性があります(後述します)。
後遺障害慰謝料の計算方法には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士・裁判基準の3つがあり、自賠責基準から順に大きくなります。
上記の表からお分かりいただけるように、3級の自賠責基準と弁護士・裁判基準の後遺障害慰謝料とでは金額で1000万円以上、2倍以上の開きがあります。
どの基準を用いるべきかは、解説するまでもないでしょう。弁護士・裁判基準で交渉できなければ、本来受け取るべき交通事故の賠償金を諦めているといっても過言ではありません。
※ここでは、かつて使用されていた「旧任意保険の統一支払基準」を参考に記載(任意保険基準は保険会社が独自に基準を定めており、現在は公開されていません。)。
後遺障害3級で慰謝料が等級の相場を超えて増額された裁判例を2つ取り上げてみましょう。後遺障害慰謝料は、相場を超えて認められることがあります。
裁判例1
東京地裁平成18年3月29日判決
被害者は主婦(症状固定時32歳)。夫が運転するバイクの後部座席に同乗中、夫が赤信号を見落として交差点に進入して四輪車と衝突した事故です。加害者は、事故時の夫と四輪車運転手となります。
被害者は、頭部外傷、脳挫傷、顔面骨折、右尺骨骨折、左脛骨骨折などの多岐にわたる重度の傷害を受けました。
高次脳機能障害、複視、右眼視野欠損、咀嚼障害、骨盤骨変形、外貌醜状などの後遺障害となり、自賠責保険から「併合3級」に認定されました。
以上の事情を考慮し、入通院慰謝料250万円に加え、後遺障害慰謝料2200万円を認めました。
参考文献:交通事故民事裁判例集39巻2号472頁
裁判例2
名古屋地平成29年2月21日判決
被害者は年金生活者の男性(事故時64歳)。
高齢男性(事故時85歳)の運転する加害者車両が、センターラインを超えて走行し、被害者車両と正面衝突した事故です。
右下肢欠損、右股関節機能障害、左下肢関節機能障害で、自賠責保険により「併合3級」に認定されました。
などの諸事情を考慮して、入通院慰謝料350万円に加え、後遺障害慰謝料2100万円を認めました。
参考文献:自保ジャーナル1998号1頁
弁護士・裁判基準における後遺障害慰謝料の相場は、1990万円で、2つの裁判例ともこれを超えています。
もともと実際に支払われる後遺障害慰謝料は、事故態様などによって個別に判断されるので、事故ごとに異なります。
中でも裁判では、被害者の後遺障害や性別、年齢、年収、職業、生活状況など様々な要素を念頭において判断されるので、相場よりも高い慰謝料が認められることがあるのです。
次に、後遺障害が残った場合に請求することができる逸失利益について考えてみましょう。
逸失利益は、以下の計算式で求めることができます。なお、後遺障害3級の労働能力喪失率は、100%で計算します。
*「被害者の年齢に応じたライプニッツ係数」は、国土交通省の以下のサイトに記載:国土交通省「就労可能年数とライプニッツ係数表」
では、実際に次のケースの逸失利益を計算してみましょう。
事例
被害者の年齢・性別:25歳女性
被害者の年収:350万円
被害者の後遺障害等級:3級2号
350万円(年収)×100%(労働能力喪失率)×23.701(年齢25歳のライプニッツ係数※)=82,953,500円
計算式に従うと、この事例での逸失利益は約8300万円となります。
※ 2020年3月31日以前に発生した事故の場合は、ライプニッツ係数を17.423で計算
慰謝料や逸失利益の計算は、初心者には難しいものです。
自力で、隅から隅まで各用語の意味をチェックしたり、係数表を確認することは時間がかかり大変です。
そこで、慰謝料と逸失利益を自動でシミュレーションする「自動計算機」なら、決まった項目を入力するだけで、ご自身の慰謝料相場金額、逸失利益の相場金額を計算することが出来ます。
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社会生活が困難となる後遺障害3級の認定をより確実にするには、後遺障害等級認定の請求手続きを「被害者請求」で行うことです。
保険会社に手続きをお任せする事前認定と異なり、提出書類が多いため手続きは煩雑になりますが、その分資料の内容を自身で把握することができます。
また、提出書類の中でも後遺障害診断書が重要です。
しかし、医師に適正な後遺障害診断書を書いてもらえず、適正な等級に認定されないケースがあります。
その場合、医学の知識のない素人から「適正に書かれていないから修正してほしい」と訴えられても、医師はすぐに書き直してはくれません。
後遺障害診断書に納得がいかない場合、後遺障害に強い弁護士などにチェックを受けた後に、医師に書き直しを要求することができます。
確実に後遺障害認定を受けるためにも、弁護士との連携は重要になります。
異議申し立てや裁判などで、交通事故に強い弁護士は、適正な等級認定のために力になってくれます。
弁護士に相談、依頼することをお勧めするには、他にも慰謝料増額が期待できるからでもあります。
以下3つのポイントがカギを握ります。
この3つのポイントを実現するためには、交通事故についての専門知識や経験が豊富な弁護士を選ぶことこが重要になります。
後遺障害等級3級の後遺障害慰謝料は、自賠責基準で861万円~、弁護士・裁判基準で1990万円程度です。
後遺障害等級3級が認定されたら、「後遺症部分の損害」を相手方に請求できます。
後遺障害等級3級の自賠責基準で861万円~であり、被害者請求により先取りできます。 そして、不足している損害額を相手方に請求することになります。
この度は、自賠責保険における後遺障害等級3級1号、2号、3号、4号、5号の症状や慰謝料・逸失利益の相場について説明いたしました。
後遺障害3級は、労働能力が完全に消失する重篤な状態を指し、社会的な日常生活にもかなりの制約が生じます。このため、適切な等級認定を受け、できるだけ多くの賠償金を請求することが重要です。
交通事故の専門的な知識を持つ弁護士に依頼し、弁護士基準や裁判基準で慰謝料を交渉することで、賠償金の増額の可能性が高まります。
後遺障害3級の認定を確実に受け、適切な金額の賠償金を得るために、手続きを進めることをおすすめします。